新潟市 會津八一記念館

會津八一記念館ブログ『秋艸日記』

2009年12月25日

メリークリスマス

 本日はクリスマス。會津八一ファンの皆さんへとっておきのクリスマスプレゼントをお知らせいたします。来年2010年は、會津八一がこよなく愛し、歌に詠んだ奈良・平城京遷都1300年の記念の年にあたります。それに因み、日本経済新聞社との共催「奈良の古寺と仏像―會津八一のうたにのせて」を新潟、東京、奈良の3会場で開催します。先日、23日付の新潟日報朝刊で報道されましたが、新潟では来年4月24日から6月13日まで、新潟市美術館と当館で行います。新潟市美術館には、中宮寺の国宝・菩薩半跏像(弥勒菩薩)をはじめ、法隆寺の観世音菩薩立像、東大寺の弥勒菩薩立像や法隆寺・百済観音のレプリカなども展示し、仏像や古寺を詠んだ八一の歌書作品を併せて陳列します。記念館では、會津八一の生涯や業績に因んだ墨書作品や原稿、奈良ゆかりの人々との交流の足跡を書簡などで紹介します。

 
みほとけの あごとひぢとに あまでらの 
あさのひかりの ともしきろかも
 
(み仏の顎と肘とに尼寺の朝の光のともしきろかも)
 
會津八一詠「中宮寺にて」(「南京新唱」より)
 
 八一は、中宮寺の菩薩半跏像のあごとひぢのあたりに、朝の光がほのかに射している様子に心惹かれて詠じました。なお菩薩半跏像は新潟展のみの展示です。お寺から外へ出たのは奈良国立博物館と東京国立博物館の2館のみでしかなく、本展はまさに千載一遇のチャンスです。ぜひお見逃しの無いように今から準備をお願いします。
(学芸員・喜嶋)

會津八一書「みほとけの」(当記念館蔵)

2009年12月18日

新収蔵品展はじまる!!

 ここ数日の寒波により、わが新潟市は現在も雪が深々と降っています。昨日の報道では、12月としては24年ぶりの大雪だとか。通勤、通学に一苦労された方も大勢いらしたことでしょう。
 
  さよふけて かどゆくひとの からかさに 
ゆきふるおとの かそけくもあるか
 
  (さ夜ふけて 門ゆく人の 唐傘に 
  雪降る音の かそけくもあるか)
 
會津八一詠「旅愁」(『南京新唱』より)
 
 歌は、八一が早稲田大学を卒業後、新潟県中頚城郡板倉村(現上越市板倉地区)の有恒学舎の英語教師として赴任した頃(明治39年~43年の間)に詠んだ1首です。夜ふけて門前を通る人の唐傘にさらさらと音をたてて降る雪の音。その音がもの寂しく聞こえてくる、という。20代の八一には、板倉での生活に寂寥(せきりょう)を感じたのでしょう。
 
 今日から当館では「新収蔵品展」を開催しています。ここ数年間、当館への寄贈寄託された會津八一の書作品、書簡、遺品などを展示。また「會津八一の歌を映す」第3回秋艸道人賞写真コンテスト入賞入選作品も同時に展示しています。今回の目玉作品としては、
 八一書「12曲屏風」(寄託)。春夏秋冬に因んだ短歌と漢詩と画を貼り交ぜにした屏風です。
 八一の主治医であった脳外科医・中田瑞穂も“逸品”と称したこの屏風。右隻の第1扇目には「さよふけて」の歌書があります。雪降る音に実感が湧くことでしょう。
(学芸員 喜嶋)
 
 會津八一筆「12曲屏風」内の「さよふけて」

2009年12月11日

「今年の漢字」から想う

  12月12日は、みなさん何の日がご存知でしょうか?この日は、「漢字の日」。財団法人(漢検)が1995年(平成7)に制定した記念日です。「いい字一字」が「1(いい)2(じ)1(いち)2(じ)」の語呂合わせにちなんだとか。

 漢検では、毎年その年の世相を象徴する「今年を表現する漢字(今年の漢字)」を全国から募集。本日、京都市の清水寺の貫主による巨大な和紙に漢字一字を揮毫し発表されました。今年は「新」。新政権、新型インフルエンザ、スポーツ界の新記録樹立など、新しいことに期待し、希望を抱いた1年として反映されたようです。

  
 會津八一の書作品に戦後、新潟日報社へ贈った「日々新又日新」(日々に新たに又た日に新たなり)があります。中国・殷時代の湯という王が、「日々新…」を洗面器に彫り付けて毎日の自戒の句としたのです。作家の司馬遼太郎はこの語句について「近代の憂愁や倦怠がない。湯王が勢いよく顔を一洗して、おれはきのうのおれではないぞ、さらに一洗して、きょうはまた生まれ変わったぞ、という素朴な明るさにあふれている」と思いをはせていたとか。これはまた、八一の生活指針「学規」の4か条目「日々新面目あるべし」にも通じる内容かと思われます。
 今月18日から当館では「新収蔵品展」が始まりますが、新寄贈の「学規」をはじめ、中には初公開の作品や珍しい資料も展示します。八一の新たな魅力に触れることで、清新な気持ちとなる機会です。是非ご来館下さい。
(学芸員・喜嶋)
 
會津八一書「日々新又日新」
 (新潟日報社蔵)
 
 
會津八一書 新収蔵「学規」
(新潟市會津八一記念館蔵)
 
 會津八一記念館ブログ「秋艸日記」は、毎週金曜日更新の予定です。展覧会、イベント、最近の出来事など記念館の情報を発信します。

2009年12月 8日

《速報》「會津八一の歌を映す」第三回秋艸道人賞写真コンテスト結果発表

 12月6日、「會津八一の歌を映す」第三回秋艸道人賞写真コンテストの審査が行われました。大賞の秋艸道人賞は、赤塚一さん「ひそみ来て 誰が打つ鐘ぞ」に決定しました。入賞入選作品は12月18日(金)より會津八一記念館で開催する冬季企画展「新収蔵展」内で展示されます。

【秋艸道人賞】 
 
赤塚 一(アカツカ・ハジメ 新潟県燕市)
《作品対象》 
「夢で見た浄土(阿弥陀如来、五百羅漢、生魂の蛍)」
《撮影場所》
「佐渡市羽茂本郷(大蓮寺)、佐渡市久知河内(蛍)」
《課題歌》
ひそみ来て 誰が打つ鐘ぞ さ夜ふけて 
ほとけも夢に 入り給うころ 
 
 入賞入選作品は以下の方々です。
 
入賞(6点)
☆秋艸道人賞 
 赤塚 一(新潟県燕市)
☆早稲田大学會津八一記念館館長賞   
 植木 元(新潟県柏崎市)
☆新潟市長賞          
 栗原 昭作(新潟市江南区)
☆胎内市長賞
 村上 義廣(奈良市)
☆新潟日報社賞      
 田中 剛(埼玉県入間市)
☆BSN新潟放送賞 
 石森 文夫(福島県いわき市)
 
入選(18点)
 赤塚 一
 内海 美希
 粕川 偉三男
 上谷 勝
 古賀 隆子
 小林 七重
 澤 康子
 柴谷 浩也
 高橋 仁
 高橋 ノリユキ
 高橋 祐輔
 外石 富男
 長北 智子
 中條 茂利
 丹羽 明仁
 古谷 文俊
 宮崎 延
 山口 晴久
 (50音順)
 
たくさんの御応募ありがとうございました。

2009年12月 4日

野坂昭如と八一

 昨日、新潟市は「第4回安吾賞」の受賞者を発表されました。新潟市出身の小説家坂口安吾にちなみ、反骨心や飽くなき向上心を持ち続ける個人や団体を表彰する賞です。今回は、安吾賞に俳優・渡辺謙氏、市特別賞に作家の野坂昭如氏が選ばれました。
 野坂氏といえば、直木賞受賞した小説「火垂るの墓」が有名です。毎年、終戦記念日になると、アニメや実写映画が放映されるなど、多くの日本人に親しまれている作家です。
 もともとは鎌倉市出身ですが、1947年(昭和22)新潟県副知事を務めていた実父にひきとられ、旧制新潟高校に編入します。旧制高校在学中に学制改革が起き、1949年(昭和24)新制新潟大学に入学するも3日で退学。実はこの頃、會津八一と野坂氏は不思議な出会いをしたのでした。
 野坂氏のエピソードによると、大学入学した49年、出来たばかりの新潟競馬場の杮落しの日に浴衣姿の八一を案内。後日、八一から「洗浄其心」と揮毫した書作品を贈られ、その書をながめた野坂氏の父親が「君を見抜いたんだね」と大笑いされたそうです。八一の書「洗浄其心」に奮発したのか、野坂氏は新潟大学中退後、早稲田大学文学部仏文科に入学。三木鶏郎の冗談工房に入社し、戦後の童謡を代表する「おもちゃのチャチャチャ」を作詞したり、その後の目覚ましい活躍ぶりは皆さんの知るところでしょう。
                                                                   
 話は変わりますが、安吾賞に負けず劣らず、当記念館主催による第2回「會津八一」賞懸賞学術論文と第3回「秋艸道人賞」會津八一の歌を映す写真コンテストの応募が締め切りました。これから審査会が行われますが、栄えある栄冠を手にするのは?後日、報道機関で発表されます。なお、第3回写真コンテスト入賞入選作品は、今月18日から始まる新収蔵品展で展示します。乞うご期待下さい。
 (学芸員・喜嶋)
會津八一賞・秋艸道人賞トロフィー「天つ乙女」原像
東京藝術大学学長 宮田亮平先生作
 
 

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