新潟市 會津八一記念館

會津八一記念館ブログ『秋艸日記』

2010年1月29日

まなざしの話

 1月27日、「奈良の古寺と仏像-會津八一のうたにのせて―」の記者会見が行われました。ポスター、チラシも完成、28日には新潟日報で特集記事が掲載され、目に見える形になってきました。ちなみに、新潟市美術館の前売り入場券は2月5日(金)発売になります。

 もう一つの会場となる會津八一記念館では国宝、重要文化財などの仏像は展示しませんが、八一の生涯と業績をたっぷりとお見せする展示を企画しております。ご期待ください。
 現在、当記念館では「新収蔵品展」が好評開催中ですが、奈良の古寺と仏像を詠んだ作品も多数ご紹介しています。
 
毘樓博叉 まゆねよせたる まなざしを
まなこにみつつ あきののをゆく
(ビルバクシャ まゆね寄せたる まなざしを
眼に見つつ 秋の野を行く)
 
 この歌は東大寺戒壇院に安置されている四天王の広目天を詠んだ一首で、「ビルバクシャ」は広目天の梵名になります。八一はこの歌を大変気に入っていましたが、広目天と八一のまなざしが似ていると友人や門下生に常々いわれていたそうです。筆と巻物を持ち、力強い眼をした広目天は、学者、書家、歌人であった八一そのままの姿かもしれません。
 記念館で常時上映しているドキュメンタリービデオ「會津八一 歌と書の世界」でも、八一の奈良での業績をたどる事が出来ます。このビデオで名優仲代達矢は、まさにビルバクシャの様な顔立ちで八一を演じています。
 春の展覧会の予習で「新収蔵品展」を観に来てはいかがでしょうか?
 (学芸員・湯浅)
 

會津八一歌書「毘樓博叉」

(新潟市會津八一記念館寄託)

 

 會津八一記念館ブログ「秋艸日記」は、毎週金曜日更新の予定です。展覧会、イベント、最近の出来事など記念館の情報を発信します。

2010年1月22日

冬ごもりの話

 1月20日は大寒でした。新潟の冬は厳しくて外出したくない日もありますが、記念館ではイベントが盛りだくさんです。

 2月6日(土)に第3回秋艸道人賞写真コンテストと會津八一賞懸賞論文の授賞式・講評会を「クロスパルにいがた」4F映像ホールで開催致します。詳しくは記念館までお問い合わせください。
 新収蔵品展は記念館で好評開催中、写真コンテスト入賞入選作品も同時展示中ですので、御来館お待ちしております。
 館外を見渡すと寒椿が咲き、松林の向こうから海なりが聞こえてきて冬を感じますが、今回の展示作品の中では八一が詠んだ冬の作品を紹介しています。
 
よもすがら はとのねごとや ふゆごもり
(終夜 鳩の寝言や 冬ごもり)
 
 これは一晩中、鳩の喉を鳴らすさまが聴こえる冬の様子を詠んだ俳句です。作品には大きく可愛らしい二羽の鳩が仲良く描かれていますが、この作品を見ると厳しい寒さも和らいできます。
 十姉妹、珠数掛鳩、九官鳥など生涯何羽も飼育をした八一らしい一句ですが、その経験は随筆「小鳥飼」でも述べています。鳥を飼うことで気付いた事、八一の自然観など、自由な思索がつづられた名随筆です。
 ところで、「冬ごもり」は俳句の季語では冬ですが、万葉集では春の枕詞だそうです。桜咲く春が待ち遠しいです。

(学芸員・湯浅)

 

會津八一書画「双鳩図・よもすがら」

(會津八一記念館蔵)

 

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2010年1月15日

歌会始の儀の話

 ここ最近の新潟は、大風と雪で大荒れな天候が続いています。それでも、毎日来館者がいて、大変うれしく思っています。

 ところで、1月14日は、新春恒例の宮中行事「歌会始の儀」が行われたニュースが流れていました。今年の題は「光」。一般応募は2万3346首もあったそうなので、その数だけ様々な「光」が詠まれたことになります。新潟市内は百貨店大和の撤退に続き、老舗書店北光社の廃業と衝撃的な暗いニュースが流れていますが、少しでも明るい「光」が差し込むことを心から願っています。
 
 歌会始といえば、1953(昭和28)年2月9日、會津八一は召人として臨席しています。その時の題は「船出」でした。
 
 ふなびとは はやこぎいでよ ふきあれし 
 よひのなごりの なほたかくとも
 
 (船人は はや漕ぎ出でよ 吹き荒れし
 宵のなごりの なほ高くとも)
 
 前年にサンフランシスコ平和条約が結ばれ、独立国家として歩みだす日本。国民を船人にたとえて、励ましを込めて詠んだ一首でしょう。どんなに辛く、苦しい大風の時でも「船出」する勇気が湧いてくる、元気が出る短歌です。
 この歌は、写真コンテストのテーマの一首です。展示室では八一の書と入選作品をご紹介しています。
  (学芸員・湯浅)
 
會津八一書「ふなびとは」
(會津八一記念館蔵)
 
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2010年1月 8日

国民読書年の話

 あけましておめでとうございます。

 2010年は平城遷都1300年祭開催年。昨年末に報道された日本経済新聞社との共催の巡回展「奈良の古寺と仏像―會津八一のうたにのせて」の準備も着々と進んでいます。新潟会場では4月24日から6月13日まで開催します。
 今年は他にもバンクーバーオリンピック、サッカーのW杯など大きなスポーツイベントの開催年ですが、文化面に目を向けると「国民読書年」だそうです。
 
  「最も華やかなるべき大學時代も、かくて幽獨に堪へたる閉戸讀書の時代なり」
 
 と、八一は歌集『鹿鳴集』後記で述べていますが、青年時代は読書漬の日々でした。多くの人たちと同じように、八一の人間形成において、読書は重要な役割を担っていたようです。国民読書年の今年、「奈良の古寺と仏像」展が、八一の短歌や文章を読み親しむ契機となれば幸いです。
 
 ところで現在、当館で開催中の展覧会では、晩年まで衰えることを知らなかった八一の読書熱を示す相馬御風の著作『大愚良寛』、『良寛を語る』の2冊を紹介しています。当時、新潟日報社社長の西村二郎氏にこの書籍を借りた八一は、返却時にお礼の書簡を渡していますが、今回はその書籍と書簡を展示しています。
 (学芸員・湯浅)
 
新収蔵品展展示風景
 

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