2010年5月29日
「いつくしみの心」の話
27日、「奈良の古寺と仏像」展、新潟県立近代美術館の入場者数が5万人を突破しました。展覧会は6月6日まで、期間内は大変混雑しておりますが、御来場お待ちしております。
私も国宝・中宮寺菩薩半跏像を360度ガラスケースなしの露出展示で拝見することができ、大変感激しました。このような半跏思惟像(=台座に腰掛け、左足を垂らし、右足は左足のひざの上にのせ、右手をほおにつけて思考する姿のもの)は、中国では北魏から隋のころまでは成道(じょうどう=悟りを開き、仏道を完成すること)前の釈尊(=悉達多太子)を表していたそうです。朝鮮半島では弥勒菩薩、つまりこちらも成道前の苦悩する姿だといいます。悩み多き世の中ですが、どんなときも中宮寺・菩薩半跏像のように穏やかな表情で「いつくしみの心」を持ちたいものです。
さて、前回も紹介しましたが、「いつくしみの心」をテーマにした中宮寺の日野西光尊門跡らによる対談と講演会が、長岡市を皮切りに佐渡市、新潟市の3ヵ所で行われます。また、新潟での講演会は東大寺別当に就任直後の北河原公敬師もかけつけ講演します。詳しくは「奈良の古寺と仏像」展公式サイト内イベント情報(
http://butsuzo.exhn.jp/event/index.html)をご覧ください。どの会場とも、まだ席に若干の余裕がございます。新潟市會津八一記念館(電話025-222-7612)までお問い合わせください。
會津八一記念館の展示「生涯と業績をたどる」も好評開催中です。
(学芸員・湯浅)
2010年5月21日
朝の光の話
ついに中宮寺の国宝・菩薩半跏像が21日に長岡にやってきます。八一が「玲瓏(れいろう=玉のように輝くさま)たる光沢」と称した像を間近で観ることができる、またとない機会、25日から6月6日まで長岡の新潟県立近代美術館で特別公開されます。
その中宮寺の菩薩半跏像ですが、はじめて見たのが50円切手だった人は多いのではないでしょうか?この切手のデザインの元になったのが、八一と親交のあった小川晴暘撮影の写真になります。晴暘は八一の強い勧めで文化財写真の専門店・飛鳥園を大正11年に創業し、多くの仏像を撮影しました。八一はその撮影を積極的にサポート、写真の監修もしています。
現在、新潟市美術館で二人の芸術に迫る展覧会「會津八一と小川晴暘」展が開催されていますが、去る5月15日はその晴暘の跡を継いだ小川光三先生のご講演がありました。仏像を撮影する際の考え方や、写真の光と影の効果などを丁寧にお話していただきました。
その際、話題になったのが晴暘撮影の菩薩半跏像の写真。撮影当時、寺院の白壁の土塀に反射した朝日が、室内の障子を通り抜けて柔らかな光と変わり、像を優しく包んでいたそうです。そのため、柔和な表情をした像を撮影できたとおっしゃっていました。まさに、八一が詠んだ「みほとけの あごとひぢとに あまでらの あさのひかりの ともしきろかも」です。
新潟市美術館では小川晴暘撮影の菩薩半跏像の1m四方の写真が展示しています。新潟県立近代美術館では菩薩半跏像のお身代わりは23日まで展示。図録には小川光三先生撮影の写真が掲載されています。
(学芸員・湯浅)

小川晴暘撮影・中宮寺菩薩半跏像
2010年5月16日
初夏の風の話
「奈良の古寺と仏像」展新潟会場の会期は折り返して後半戦、6月6日までの開催なります。県立近代美術館、會津八一記念館で好評開催中、ご来館お待ちしております。
仏像展はまだまだイベントが盛りだくさんですが、5月9日は『まちなかトーク「會津八一のまなざし-奈良、そしてふるさと新潟」』が開催されました。アサヒビール芸術文化財団事務局長・加藤種男氏、新潟市長・篠田昭氏、当館学芸員・喜嶋奈津代の3人が、會津八一と新潟への想いを語るイベントでした。
さて、今回の展覧会ですが會津八一記念館では土、日曜日11時より定期的に解説会を行っています。私も解説をすることがありますが、時節柄、最近は下記の奈良歌をよく紹介しています。
はつなつの かぜとなりぬと みほとけは
をゆびのうれに ほのしらすらし
季節の移ろいや仏像の繊細な美を表現する方法は様々あるかと思いますが、仏像の「小指(をゆび)」の先端に注目する八一の観察眼や想像力に脱帽します。
この作品は財団法人宮城道雄記念館が所蔵している會津八一書「奈良の四季」4点の中の1点です。筝曲家・宮城道雄は八一の奈良歌を作曲したいと考えていました。これを聞いた八一が四季折々4首の歌を揮毫して宮城に送りました。昭和30年にその歌は「奈良の四季」と題され、初演されています。
會津八一記念館は日本海に面し、沖合に佐渡を見渡せる西海岸公園の近くにあります。初夏の風を感じながら、展示鑑賞はいかがでしょうか?
(学芸員・湯浅)
2010年5月 7日
イベント情報
「奈良の古寺と仏像」展新潟会場の県立近代美術館は開催10日目の5月3日で1万人を突破しました。もう一つの会場である当館の八一の「生涯と業績をたどる」展も好評開催中です。
また、新潟市美術館で「會津八一と小川晴暘」展、新潟中央図書館や北方文化博物館新潟分館でも八一の関連展示をしております。
さて、5月2日に近代美術館で開催した神林恒道館長の講演会「やさしい仏像の見方」は満席になる大盛況でした。一見難しい仏像鑑賞ですが、仏の種類から西洋彫刻との比較まで、目から鱗が落ちる楽しい講演でした。
講演会の風景
まだまだ展覧会イベントが目白押しですが、当館職員出演するイベントもあります。今からでも申し込み不要で参加できるイベントを紹介します。
①まちなかトーク「會津八一のまなざし-奈良、そしてふるさと新潟」
加藤種男(アサヒビール芸術文化財団事務局長)
篠田昭(新潟市長)
喜嶋奈津代(會津八一記念館学芸員)
5月9日(日) NEXT21 6F 市民プラザ(新潟市)
13:00~15:00
②「仏像を撮るということ-晴暘と光三のまなざし-」
小川光三(飛鳥園社長・仏像写真家)
解説:湯浅健次郎(會津八一記念館学芸員)
5月15日(土) 新潟市美術館
14:00~15:30
お問い合わせは新潟市美術館 TEL025-223-1622 まで
たくさんのご参加お待ちしております。
(学芸員・湯浅)