新潟市 會津八一記念館

會津八一記念館ブログ『秋艸日記』

2012年2月 4日

黒光菴の話

 今年の新潟県は毎日雪マーク。記念館周辺にも雪が積もっていますが、天気予報では寒波は峠を越したとのこと。少し安心しています。

 さて、現在開催中の「収蔵品展」ですが、近年新たに収蔵された作品資料もご紹介しています。ひとつは、新宿中村屋の創業者で女店主、相馬黒光に贈った書「黒光菴」。新宿中村屋といえば、インドカリーや芸術家を庇護したことで有名な老舗店です。

 黒光は、八一から書「黒光菴」を数枚渡されていますが、この作品はその一枚。黒光と親交のあった中学校の女性教諭が、書を学んでいたことから、譲り受けた書になります。
 昭和26年(1951)6月14日、黒光は八一宛の手紙で「黒光菴」を自宅の応接間に懸けていると記しています。その手紙を詠んだ八一は「貴菴に於ける拙筆額面(※《黒光菴》)等の御消息は興味深く拜承致し候」と返信しています。
 
 八一と黒光との交流は大正時代から始まりました。当時、八一は早稲田中学校の英語教師で、進級の成績に達しなかった黒光の息子・安雄を諭し、落第させました。すぐに相馬夫妻が八一を訪ね、いさぎよく落第させたことを非常に徳としてお礼をしたそうです。以後、黒光は、八一を最も尊敬する人物として名前を挙げています。安雄は八一の薫陶を受け成長し、新宿中村屋の2代目社長となり活躍しました。近年は日本での盲導犬の普及に尽力した人物としても知られています。
 
 ところで、會津八一記念館では2月より入学、就職シーズンにあわせて「学規」の複製を特別価格で販売いたします。額装、色紙、未表装の3種類をご用意しております。学問の規則を記した4ヶ条、入学、就職祝いなどにご活用ください。詳しくは會津八一記念館までお問い合わせください。
(学芸員・湯浅)

新収蔵 會津八一書「黒光菴」

2012年1月31日

大雪の話

 新潟市街は1月25日から雪景色。記念館周辺も白一色で、駐車場の雪掻きをすることに・・・。天気予報の雪マークに怯える日々です。

 幸い、1月21日に開催した第5回秋艸道人賞写真コンテスト表彰式・講評会は、雪もなく無事終了しました。審査委員長の浅井愼平さんの丁寧な講評もあり、作品鑑賞のポイントが良くわかりました。講評会では入賞作品への鋭い指摘があったり、入賞者から撮影秘話が出たり、大いに盛り上がりました。現在、写真コンテストの入賞入選作品展が、当記念館で開催されていますので、どうぞご覧下さい。また、写真コンテストは来年度も開催予定ですので、こちらも乞うご期待。
 ところで、會津八一と雪といえば、当記念館近くの西海岸公園内にある歌碑「みゆきつむ まつのはやしを つたひきて まどにさやけき やまがらのこゑ(み雪積む松の林を伝ひきて窓にさやけき山雀の声)」を思い浮かべる人がいるのではないでしょうか?
 実は昨年末、この短歌から名前を採用したお菓子「みゆきつむ」が、当記念館の協力企業の大阪屋から発売されました。「日に映える新雪をふ焼と梅砂糖で、薫りたつお薄を松の葉に見立てた」(大阪屋広報より)とのこと、ぜひご賞味ください。
 このような短歌や俳句、花鳥風月、地域の歴史や名所に由来して名付けたお菓子の名前の事を「菓銘」というそうです。ちなみに、八一ゆかりの「菓銘」は、「喫茶去(きっさこ)」(大阪屋)、「かまつか最中」「秋艸(あきくさ)」(里仙)もあります。
(湯浅)
写真コンテスト表彰式
(左・秋艸道人賞受賞 新飯田茂雄さん
右・浅井愼平審査委員長)

2012年1月21日

新年の話

 年末から年始にかけて、新潟県は毎日雪マーク。しかし、気温は低いものの、記念館周辺で雪が積もることは、ほとんどありませんでした。八一は「すべもなく みゆきふりつむ よのまにも ふるさとびとの おゆらくをしも(術もなくみ雪降り積む夜の間にも故郷人の老ゆらく惜しも)」と詠んでいますが、新潟はこれからが寒さ本番。職員一同、雪掻きに備えて気を引き締めていきたいところです。

ところで、昨年12月20日より開催しております「収蔵品展 同時開催第5回秋艸道人賞写真コンテスト入賞入選作品展」ですが、年が明けて急きょ少し展示替えをいたしました。
展示替えのポイントの一つは、新潟大学医学部教授だった中田瑞穂が描いた写生画に、會津八一が李白詩を揮毫した合作屏風「心友合作」。瑞穂の写生画を見た八一が気に入り、制作したものになります。実はこの作品、新潟大学医歯学総合病院内に飾る2012年のカレンダーとして採用されました。このカレンダーを見て、患者さんが和らいだ気持ちになっていただけるのではないかと期待しています。
次に、海外21カ国に拠点をもち、文化芸術交流などを主たる活動としている独立行政法人国際交流基金が制作した會津八一の短歌入り年賀状とグリーティングカードもご紹介しています。短歌は「震餘」の1首「あたらしき まちのちまたの のきのはに かがよふはるを いつとかまたむ(新しき街の巷の軒の端にかがよふ春をいつとか待たむ)」。2012年の新年に日本から世界に発信する言葉を探していた国際交流基金の担当者の目にとまり、今回の採用となりました。震災直後に当館blog「秋艸日記」でも掲載したこの1首が、世界中に発信されたと思うと感慨深い思いになります。
 新潟大学医歯学総合病院のカレンダー、国際交流基金の年賀状、グリーティングカード、どれも非売品ですので、当記念館でご覧いただきたいと思います。

(学芸員・湯浅)

 

国際交流基金のグリーティングカード

 

I can hardly wait
For spring to dance
Onto the eaves of rooftops
On the streets
Of our town reborn

2011年12月24日

第5回秋艸道人賞「會津八一の歌を映す」入賞入選作品と収蔵品展開催

 特別展「會津八一vs北大路魯山人」~傲岸不遜の芸術家~が先月30日で無事終了しました。おかげさまで、大勢の方々が来館され、反響も大きかったようです。来館された皆様、誠に有難うございました。

 さて、20日から「収蔵品展 同時開催 第5回写真コンテスト入賞入選作品展」がスタート。写真コンテストも今回で5回を迎え、過去最多115点の応募作品がありました。
審査委員長の写真家淺井愼平氏は「秋艸道人の歌への理解が深まってきたと感じさせられた作品が集まった」と評しています。八一の歌から感じた心象風景を映像にしてほしいという、このコンテストの狙いが全体に浸透してきたようです。36点の独創的な写真の力作をぜひご堪能下さい。
 収蔵品展では、季節にちなんだ題材や画のある作品など29点を展示、中には今年新たに記念館に収蔵された作品資料11点も紹介しています。特に、伊達俊光宛會津八一書簡=写真=(大正6年12月29日)は、八一の初恋の人・文子との再縁が記されております。そして彼が指頭に大なる印度産の紅焔燃ゆるが如きトパースの指環輝けり これ小生の與へたるところなり 彼の枕頭には小生の與へたる六曲屏風ありて風を防ぎ彼の腰間にメキシコの瑪瑙を刻みてつくれる帯留あり、これ小生の與ふるところなり」と、文子が八一の贈り物を身に着けていたと親友の伊達に嬉しそうに披露している箇所もあり、とても興味深い書簡です。文子が八一の肖像画を描いた作品も併せて陳列しています。もっとも八一はこの絵を気に入ってはいなかったようですが…。ぜひご覧ください。 
(学芸員・喜嶋)
 
 

2011年12月 9日

八一の歌と中宮寺門跡書 墨跡入り茶碗を共同製作発売

 新潟市會津八一記念館では、會津八一の歌書と奈良県中宮寺の日野西光尊門跡の墨跡をそれぞれ刷り込んだ二種類の茶碗を同寺と共同製作し、販売を開始しました。

 同記念館は2010年春、長岡市の県立近代美術館で開催した特別展「奈良の古寺と仏像~會津八一のうたにのせて」に本尊の国宝・菩薩半伽像(同寺では如意輪観世音菩薩)を出陳し、成功を収めたことから、同年11月には同寺境内に八一の歌碑を、2011年7月には新潟市西海岸公園内に姉妹歌碑をそれぞれ建立し、交流を深めています。
 茶碗には八一の歌書は同寺の菩薩半伽像を詠んだ「みほとけの あごとひぢとに あまでらの あさのひかりの ともしきろかも」が、もう一つは達磨大師が弟子に与えたという偈(仏教典中にある詩句形式の教え)の一句「一華開五葉」(いちげ ごようをひらく=悟り、発展、繁栄の意味)を同門跡が揮ごうした文字がそれぞれ茶碗の側面に刷り込みました。また、内底には菊の紋、外底には中宮寺の名が入っています。
 価格は箱詰め二個入りが2500円、一個入りが各1300円。箱書きも同門跡の筆入り。中宮寺と會津八一記念館などで販売しています。
 
 
 
写真=會津八一記念館と奈良・中宮寺が共同製作した茶碗。右は日野西光尊門跡の直筆、左は會津八一の歌書がそれぞれの外側に、内底に菊の紋が刷り込まれています。

 


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